福岡県みやま市のナチュラル住宅 株式会社 彩 irodori

自然素材を使った人にやさしいナチュラル住宅

ウッドショック

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いよいよ ウッドショックの影響が深刻になり始めてきました。最近 ほとんどのメディアはコロナウイルス関連の情報ばかりで ウッドショック と言われても 「ウッドショックって何?」 と言う方がほとんどかと思います。

そんな方に 先ず ウッドショック とは何かを説明しますと

一昔前 オイルショックの際は 石油が世界的に足りなくなり石油精製品の製造が滞ったことで 様々な物価が上昇したことはご存じかと思います。

今回は 日本における木材供給が全く足りないことにより 原木・木材の値上がり、更には木材を使った様々な製品 当然 住宅価格も値上げ 若しくは住宅そのものの建築ができない そのような状況になりつつあります。

 

このようなことが起こった背景には いくつかの原因があります。

木材自給率 36.6% (2020年現在) 自国の木材資源をないがしろにし 輸入依存が高かったことで その約63%の輸入材が日本に入ってこないから 当然 需要に対して供給が間に合わないわけです。

先ず 日本の住宅に多く使われるアメリカ産の様々な木材があり 業界では SPF  S スプルス P パイン F ファー と言った 松系の材料が アメリカのコロナからなる暮らしの変化に伴い 住宅建築数の増加で輸出できる木材が不足。 

更に 世界的なコンテナ不足も深刻で 世界のコンテナ生産は9割が中国と言われ 中国はいち早くコロナ感染を落ち着かせたことによる 景気復活から 自国への輸入使用を最優先とし コンテナの耐久年数は5年と 思いのほか劣化が早いこともあり 世界中のコンテナも足りず  世界的な景気後退からなる 船便の大幅減少も影響し アメリカ頼りの木材輸入量が大幅に少なくなりました。

但し アメリカからの輸入材は アメリカの住宅ブームが落ち着けば いずれ 日本向けの輸出量は 時期的には不確定ですが 増えるはずです。

しかし 輸入木材は 欧州からの輸入木材量も多く 特に 昨今ではハウスメーカー 大手ビルダー 地場ビルダーが多く使用していた 安価な 集成梁 集成柱等に多く使われていた木材が 全面的に輸入されてこない可能性が高くなりました。

 理由としては 日本市場に対する見切りです。

日本の住宅流通の最大の汚点とされる 大規模になりすぎた住宅会社を支えるため 莫大な経費が発生する理由から 様々な資材の原価を抑えなければならなく 当然 商社もその仕入れ価格に合わせなければならず 欧州からの木材は 日本への安売りに見切りをつけ アメリカ 中国と 日本より更に 単価がいい他国へ 販路を絞り込んだそうです。

よって 今後 欧州産木材は 見込めない可能性が 大 のようです。

そうなれば 輸入木材から 国産木材へシフトするしかなくなるのですが そもそも 自給率37%足らずだった 日本の木材供給量では 全く持って カバーできるレベルの話では無いわけです。

この兆しは 昨年秋ごろには 見受けられていましたが ここまでのスピードで状況が悪化するとは 正直思っていませんでした。

コンテナ不足による 船便の減少からなる 当社の断熱資材の影響は メーカーや商社さんの協力もあり 来年前半工事分まで 事前に手配が完了していましたけど 木材に関しては 幾分警戒していたこともあり 多少の対策は講じていましたが 今後 状況は厳しくなりそうです。

先日 関西方面の情報を見てみましたら プレカット工場に関しては 木材不足に伴い 5月からは 20~40%の稼働率まで落ちこむそうです。

当然 関東方面も おおよそ同じ感じになるでしょうけど それくらい 住宅着工数も少なくなると言う事です。

では 九州に関して言えば 

九州から 本土への木材流通量増加に歯止めがかからない状況で 品薄に加え 価格上昇の頭打ちが木材流通関係者の方でも 全く検討がつかない状況。

更に プレカット工場でも 受注制限率が日増しに増える一方だそうで 関西 関東の状況まで落ち込むのも 時間の問題ではないでしょうか。

そのようなことから 当社でも できる範囲で対策は講じるつもりですが 今後の更なる 状況悪化となれば やはり当社でも 着工期延長を予期無くされる可能性もあり 悩ましいところです。

又 ウッドショックの情報は 木材関係組織 地場工務店関係者からの情報しか ネット上でも見受けられず  更に状況が厳しいはずの 大手メーカーやビルダーから ウッドショックに対し 何の情報発信も無いは 不可思議な話ですね。

しかし これを機に 国産材の自給率を大幅に上げ 一時しのぎではなく 安定的な供給体制を構築できれば 地方の林業再生 更には 日本中の山林が豊かになり 災害も減り 地方創生にも繋がる いいきっかけになれば不幸中の幸いなのですが…

それもこれも やはり政治

EU諸国は 日本より更に 自国に資源がない国も多い中 20~30年も前より エネルギー 水 住宅等のインフラに関係する様々な物に対し 徐々に 輸入依存度を下げる政策始めた事で 結果的に先進国をリードする エネルギー政策や住宅の高断熱化 長寿命化を 作り出したと言われています。

とにかく 今回のウッドショックは 民間で対策できるレベルの話では無く 業界的には コロナウイルスの影響を更に上回る危機的レベルになりかねません。

その為にも 日本の木材普及率を上げる政策は 急務だと言う事を いち早く 政治に携わる皆さんが 気づくことを願うばかりです。

最後に 今後住宅の購入 建て替えをご検討の皆様は次の事にご注意ください。

特に土地を購入され建物を建築予定の方は 依頼先の建設会社さんと こまめな情報交換をお勧めします。 土地決済金を金融機関のつなぎ融資を ご利用の方は 決済後 引き渡しまでの期間 決済金の金利が発生いたします。

ウッドショックによる工期延長に伴い 金利の更なる負担が予想されます。

又 転勤 転校等での引っ越しによる 竣工期に制限が有る方などは 依頼先の会社とは 早めにお話合いいただいた方がよろしいかもしれません。

建て替えをご検討の方も 時期を見誤り解体をしてしまえば 解体後 仮住まい生活の期間が長くなる可能性もありますので ご注意ください。

About The Author

株式会社 彩代表取締役大坪 宏記
大工としてたたき上げた当社の3代目社長。古き良き日本の伝統的な建築手法を熟知しながらも、お客様のライフスタイルや自然環境を意識した、
新しい住まいのコンセプトやデザインを追求する真のプロフェッショナル。
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