先日、当社もワンヘルス宣言事業者の認定を受けました。 ワンヘルスとは、最近メディアでも福岡県がワンヘルスのCMを流していますが、「ワンヘルスって何?」と言う方が多いのではないかと思います。 分かりやすく言えば、地球環境問題への取り組みの一環です。 ワンヘルスと言うのは、日本独自の考えではなく、既に全世界でワンヘルスへの取り組みがなされており、現在日本において、研究や情報発信の主要な役割を担う機関が我みやま市へ移転してくる事が決定しており、みやま市が、日本におけるワンヘルスの拠点となることになりました。
ワンヘルスを、もう少し詳しく説明いたしますと、
人、動物、そしてそれを取り巻く環境(生態系)の健康は一つのものであるという考えのもと、6つの柱で、ヒト、動物、環境の健康を総合的に考える
① ヒトと動物の共通感染症対策
② 薬剤耐性菌対策
③ 環境保全
④ ヒトと動物の共生社会つくり
⑤ 健康作り
⑥ 環境とヒトと動物のよりよき関係つくり
以上6つの柱からなる課題に取り組むことです。
そのような観点で言えば、当社の携わる家作りにおいては、特に③環境保全、⑤健康作り、⑥環境とヒトと動物のよりよき関係、この3つは大きくかかわることだと感じます。
まず、③環境保全の観点から言えば、当社では福岡県産材や九州産材といった地元の木材を最大限活用し、地産地消を推進することで、林業従事者の雇用を安定させ、人工林の循環と山林保全に貢献しています。これにより、土砂災害や水不足の防止だけでなく、人工林による二酸化炭素の固定化も促進され、特に樹齢40年頃までが二酸化炭素吸収量が最も高いとされる人工林は、脱炭素社会の実現に大きく貢献します。
また、建材に関しても、解体時の廃棄を最小限にするため、リサイクル可能な素材を積極的に採用することで、CO2排出量の削減と土壌汚染の防止に努めています。さらに、消費電力を抑える高断熱住宅や再生可能エネルギーを活用した住宅の普及は、脱炭素社会の実現に不可欠であり、環境負荷の低減に大きく貢献すると考えています。
現在、地元の山林や当社が数多く使用している小国杉の産地である熊本県小国町において、雑木の山の保全活動や苗木の植林を行っていますが、今後はOBのお客様や地域住民の皆様と連携し、里山の保全活動にも積極的に取り組んでいくことで、環境問題への貢献をさらに広げていきたいと考えています。
続いて、⑤健康面に関しましては、世界保健機関(WHO)は、人間の健康維持のために室温を18℃以上に保つことを推奨しています。
日本においても、関西大学の岩前教授をはじめとする多くの研究者が、住宅の室温と健康状態との関連性を深く研究しており、その成果は建設業界でも広く知られています。実際に、当社のOBのお客様の中には、ご高齢のご家族が暮らす住宅において、室温を適切に保つことで、病気の発症率が低下し、医療機関への通院回数も減少したという事例が数多く報告されています。
高断熱住宅は、ヒートショックや熱中症のリスクを軽減するだけでなく、室温を安定させることで、体調不良やストレスの軽減にも繋がります。また、シックハウス症候群やハウスダストアレルギーの原因となる化学物質を多く含む新建材の使用を極力控え、代わりに杉や檜などの無垢材や、漆喰、シラス壁といった自然素材を多用することで、アレルギー症状のリスクを低減し、リラックス効果による睡眠の質向上も期待できます。これらの自然素材は、室内の湿度調整にも役立ち、カビやダニの繁殖を抑制する効果も期待できます。
このように、高断熱で自然素材を多用した住宅は、食生活と同様に、住む人の健康に大きな影響を与えるものであると考えています。
後は、直接的な事業とは関係ありませんが、⑥環境とヒトと動物のより良い関係づくり という課題の中で、「自分が口にする食べ物がどのような環境で、どんな方法で作られているのか」という部分は、私たちにとって非常に重要なテーマです。
竹林の整備で発生する竹や間伐材を、野菜栽培における土壌改良材として活用することで、化学肥料の削減や、農薬に頼らない循環型の作物づくりが出来るようになります。このような食に関する課題にも、小規模ではありますが、現在実験を始めた次第です。時間が許す限りチャレンジを続けていきたいと考えております。
高度経済成長期以降、人間活動による地球環境への負荷が大きくなり、地球温暖化や生態系の変化といった深刻な問題を引き起こしてきました。これらの問題に対し、多くの先進国は早いうちから対策に乗り出していますが、残念ながら日本は、他の国々に比べて取り組みが遅れているのが現状です。
私たちの子どもや孫、さらにはその次の世代のために、より良い地球環境を残していくためには、日本も今すぐ環境問題に真剣に取り組む必要があります。この責任は、私たち世代が負うべきものだと考えています。
ワンヘルスの宣言事業者に手を挙げた以上、持続可能な環境作りに、少しでも多く貢献するため、様々な取り組みを進めていきます。